廃線が噂される近郊路線、神戸電鉄粟生線の魅力に迫る

廃線が噂される近郊路線、神戸電鉄粟生線の魅力に迫る

そもそも神戸電鉄粟生線とは

  • 廃線が噂される路線といえば、一般的には地方のローカル線を思い浮かべるでしょう。しかし、廃線が噂される神戸電鉄粟生線は神戸市北区の鈴蘭台駅から出発する近郊路線。一部区間の昼間の運転本数は15分間隔です。なぜ、廃線が噂されているのか? 神戸電鉄粟生線の魅力は何か? さっそく、レポートしたいと思います。

    神戸電鉄粟生線は神戸市北区の鈴蘭台駅から兵庫県小野市の粟生駅を結ぶ29.2kmの路線です。起点駅は鈴蘭台駅ですが、ほとんどの電車は阪急、阪神、山陽の接続駅である新開地駅まで乗り入れます。鈴蘭台駅で有馬線、粟生駅でJR加古川線と北条鉄道に接続します。

  • さて、新聞報道によると神戸電鉄粟生線は多額の赤字を抱え、深刻な危機に陥っています。1997年度からの累積赤字はなんと100億円! ピーク時の1992年(平成4年)には1,420万人だった乗客数が2015年(平成27年)には646万人まで減りました。しかし、粟生線はローカル線ではなく都会と郊外を結ぶ近郊路線です。一体、粟生線を苦しめている要因はなんでしょうか。

のんびり粟生線の天敵、高速バス


  • 私は粟生線の実態と魅力を探るべく、新開地8:52分発粟生行きに乗車しました。乗車した車両は2016年に登場したステンレス車体の6050系です。神戸電鉄は阪急グループということもあり、車内は阪急電車によく似ています。ところで、粟生線は基本的に3両編成もしくは4両編成で運行されています。神戸電鉄は設備の関係上、大手私鉄のように6両編成以上の列車を走らせることはできません。

  • 新開地発車時は1車両10人ほど、ほとんどがビジネスパーソンです。湊川駅を出ると急勾配が続き、時速は50km/hしか出ません。9時09分、有馬線と分岐する鈴蘭台駅に到着。後発の準急三田行きに接続するために4分ほど止まりました。鈴蘭台駅では小学生の一団が乗り満員に。とても「超赤字路線」には思えません。

  • 西鈴蘭台駅を発車すると、紅葉を見ながらのんびりとした雰囲気に。あまり人家は見られません。9時20分、こうべ環境未来館の最寄駅、木津駅に到着。ここで、小学生の一団が降りました。

  • 栄駅から粟生線の風景はコロコロ変わります。住宅地が増えたと思いきや、ため池が出没したり… もちろん、紅葉も楽しめます。このように、次々と変わりゆく車窓を楽しめるのが粟生線の魅力と言っていいでしょう。また、ほどよいスピードなので思わずウトウトとなってしまいます。しかし、駅に止まっても一向に乗客は増えません。相変わらず1車両10人のままです。

神戸電鉄のライバル、神姫バス

  • 9時40分、粟生線の中でも比較的、乗降客の多い恵比寿駅に着きました。恵比寿駅で見たのが神戸の中心地である三宮と恵比寿駅をダイレクトに結ぶ神姫バス。神姫バスは粟生線よりも安くて速く、高速バスなので客室も快適です。海抜の高い鈴蘭台駅を経由する粟生線は苦戦を強いられています。また、神戸電鉄は山岳路線なので運行コストがかかり、料金の値下げも難しい状況です。神戸電鉄では列車のワンマン化やイベント列車の企画などいろいろな対策を打ち出していますが、乗客増には結びついていません。

  • 水量が多い美嚢川(みのうがわ)を渡ると、今回の目的地である三木駅に到着。新開地駅から約50分、730円の列車旅でした。

国鉄三木線・三木鉄道の足跡がたどれる三木鉄道記念公園

  • かつて、三木にはJR加古川線の厄神駅から三木鉄道が乗り入れていました。三木鉄道は国鉄三木線から引き継ぐ形で1985年(昭和60年)に開業。しかし、乗車減に伴い、2010年(平成22年)に廃止されました。

  • 現在、三木鉄道の終着駅であった三木駅は三木鉄道記念公園として整備されています。堂々とした三木駅の駅舎も健在。駅舎は三木鉄道ふれあい館としてミュージアムになっています。館内には三木鉄道と国鉄三木線の写真やサボなど、鉄道ファンにはたまらない展示物がたくさん。三木鉄道の開業時に撮られたと思われる真新しいレールバスの写真からは三木鉄道にかける当時の人々の熱意が伝わりました。

  • 館内の大部分は改装されていますが、改札口はそのまま残っています。国鉄三木線・三木鉄道の思い出に浸れることはもちろん、懐かしいローカル線の旅を模擬体験できるスポットです。なお、三木鉄道記念公園は神戸電鉄三木駅から徒歩約15分です。

    最後に

    粟生線に乗車する際のアドバイス

    ですが、粟生線は朝・夕は15分間隔ですが、日中時間帯の志染(しじみ)~粟生間は1時間間隔です。日中時間帯に粟生線に乗車する際は必ず時刻表をチェックしましょう。

    というわけで、よい「鉄分」を!

    ライター:新田浩之

     

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