【駅弁レビュー】「米沢名物 牛丼弁当 牛肉どまん中」

【駅弁レビュー】「米沢名物 牛丼弁当 牛肉どまん中」

駅弁大会ではほぼ上位に! 東京駅「駅弁屋 祭」でも一番人気の有名駅弁!

  • 名称:「米沢名物 牛丼弁当 牛肉どまん中」

    価格:1,250円(税込)

    販売駅:米沢駅 東京駅 上野駅 大宮駅など

    入手場所:東京駅「駅弁屋 祭」

    販売元:有限会社 新杵屋

     

     

    項目

    内容

    ジャンル: 肉系
    味の濃さ: 薄ーーーー◆濃
    甘辛度: 甘◆ーーーー辛
    全体量: 少ーーーー◆多
    飽きにくさ: 飽ー◆ーーー良
    コスパ: 悪ーーー◆ー良
  • 山形新幹線の開業にあわせて開発されたというこの弁当。今や駅弁に詳しくない方でも「名前は聞いたことがある」という人気駅弁にまで成長した。現在ではかなり大量に製造し、全国各地のデパートや物産展などでも入手できるので割と手にしやすい弁当といえるだろう。

    ネーミングは、ド直球で誰もがどのような弁当か想像に容易い。ちなみに「どまんなか」とは山形県のイネの品種である。

     

    米沢といえば、三大和牛として名高い「米沢牛」を誰もが連想する。しかし、この弁当に使われている牛肉は「米沢牛」ではないことに注意したい。ネーミングのマジックなのだ。

    箱上部、シルバーのレリーフチックな部分に描かれた謎の伯爵。これは「米沢牛」を世に広めたというC・H・ダラス氏だそうだ。見れば見るほど「米沢牛」を使用している弁当に思えてしまうのが少々微妙である。

     

    そして、中央下部の「BEEF DOMANNAKA」という英文字表記は、外国人にも牛肉弁当であることがわかるのがよい。下部には、牛が接吻している新杵屋のロゴがある。グッとくるロゴだ。外箱は紙の筒状で、本体はプラ容器製である。

では、さっそく外観からみていこう。


  • パッケージ左側面には温め方や原材料名表記(下記に記載)などがある。駅弁であるが、各地で手に入るため自宅で温めて食べる人も多いだろう。筆者は試していないが「さらにパワーアップした味になる」という意見と「冷めていた方が美味しい」という意見に分かれるようだ。それは貴方自身が試してもらいたい。

    右側面には、消費期限やバーコード印字がある。
     

    ~原材料名~

    ご飯(国産)、牛肉煮(国産和牛使用)、牛肉そぼろ煮(国産牛使用)、小芋土佐煮、人参煮〆、にしん昆布巻き、玉子焼き、蒲鉾、桜漬け大根、付け合わせ、醤油ダレ、酒精、甘味料(甘草、ステビア)、調味料(核酸)、酸味料、ph調整剤、発酵調味料、ソルビトール、調味料(アミノ酸等)、増粘多糖類、トレハロース、加工でん粉、グリシン、リン酸塩(Na)、着色料(コチニール、赤キャベツ色素、赤ダイコン色素)、香料、漂白剤(亜硫酸塩)、(原材料の一部に小麦、卵、大豆、牛肉、ごまを含む)


  • 外装は筒状のため、向こう正面および手前側は弁当本体のプラ容器が見えている。

  • 外装の裏面はこんな感じだ。

では、実測!


  • 重さは実測値で487g、横幅は12cm、奥行は18cm、高さは5cm程である。車両の座席にある小さめサイズのテーブルでも、特に不自由なく食べることができる。手で持って食べることも可能だが、そぼろ肉がポロポロと落ちたりするので置いて食べたほうが食べやすいだろう。


  • いつもの350ml缶との大きさ比較だ。手頃なサイズ感が伝わると思う。

  • 筒状の外装をスライドして外した写真と付属品類の写真である。この弁当にソース類はついておらず、「割り箸」がプラ容器と外装箱の横に挟まっている。

     

    残念ながら、この弁当にはおてふきがついていない。外で食べることが前提であるが故におてふきが欲しいところだ。


  • 箸袋は紙製でつまようじ付きだ。割り箸の長さは18cmと決して長くはないが、使用するにあたっての不自由は感じない。ただ、箸の根本部分が変な割れ方をしてしまった。誰が割ってもきれいに割れる箸が理想的である。こういう割れ方をすると箸の長さを十分にいかせず使いづらい。この点、今後の改良に期待したい。

それでは、お弁当をみていこう。

  • 透明のプラ蓋には、ワサオーロシートがついており、弁当の抗菌作用を担っている。

    そして、プラ蓋を開けると、甘辛い醤油の香りが鼻をくすぐる。道すがらどこからともなく漂ってくる団子屋で焼いている磯辺焼きのような香りに牛肉独特の風味をプラスしたような香しさがより期待感を高めてくれる。その香りだけで、より腹が減ってくる。やはり甘辛醤油と牛肉は黄金タッグだ。日本人であれば、誰もがノックアウトされてしまうであろう。


  • 写真のように牛肉を手前側にすると、ごはん部分の面積は11.5cm四方程度あるのだが、手前7.5cmぐらいは、甘辛醤油ダレをかけた白米の上に「牛肉煮」が乗せてある。そして、その奥4cm程度には「牛肉そぼろ煮」である。中央を横断するように白ごまが幾分か散らされており、飯の中央にパセリをあしらっている。

    おかず部分は、フィルムケースに収められた「にしんの昆布煮」「小芋土佐煮」「人参煮〆」、そして「蒲鉾」、バランで仕切った横に「玉子焼き」、そしてフィルムケースに収められた「桜漬け大根」というラインナップである。

    色のバランスが絶妙だ。

では、一つずつみていこう。

  • まずはメインの「牛肉煮」だ。飯の上には、実測値で71gほどの肉が乗っている。濃い目の醤油味の中にこってりとした甘さが飛び出してくる。この漬け込みダレは味付けが絶妙だ。

    「牛肉煮」を噛むと肉からタレと同時に油がジュワっとしみ出てくることに気が付くだろう。この脂肪の具合がとてもよいのだ。

    肉質は決して柔らかいわけではなく、口の中にスジが残るため、最後には飲み込まなくてはならない。しかし、濃い味付けのため、咀嚼を続けてもすぐには薄まらず、苦痛ではない。コリコリとしたスジ感を楽しむというのも、またアリではなかろうか。

    「牛肉煮」を食べた後、リップグロスを塗ったかのごとく油分が付着する。そこでジューシーさを再認識するのである。

     

    ちなみに「パセリ」は避けずに食べてほしい。パセリならではのキリっとした苦みが甘辛いタレと融合して、また違う味わいとなるのだ。

    「白ごま」が散らされた部分も他とは違うコクのある味わいとなるのがよい。

  • 続いて「牛肉そぼろ煮」である。実測値で17gほどだ。このそぼろ部分は非常に食べにくい。箸からボロボロとこぼれ、弁当の縁の高さがほとんどないため、こぼさずに飯をすくい上げるのに苦労する。

     

    しかし、味はいい。こちらも甘辛い醤油ダレが十分にしみこんでいるが「牛肉煮」ほどのタレの濃さは感じられない。

    肉はしっとりと湿っており、想像よりも強い弾力である。こちらの肉も最後には飲み込まなければいけないスジや脂肪が口に残るが、コストとの兼ね合いもあるだろうから、これ以上グレードの高い肉を求めるのは難しいだろう。とはいえ、牛肉ならではの甘味や香りは国産牛肉ならではのものだ。

     

    「牛肉煮」をたいらげた後に「牛肉そぼろ煮」部分を食べるのではなく、交互に食べることで触感や味に変化が出るため、飽きにくくなる。そういった食べ方をおススメしておきたい。

  • 肉に隠れている「飯」。実測値で278gほどである。中~大の飯茶碗で1膳半より少し多い程度と十分な量がある。

    牛肉のエキスと漬けダレがしみこんだ飯は、肉がなくても十分イケる。硬めに炊き上げた「どまんなか」と甘辛ダレのコンビネーションは最高だ。

  • 「にしんの昆布巻き」である。4cmx1cm、直径1cmほどの昆布の中に、ごく少量の「にしん」が巻いてある。昆布は、干瓢で縛られ形を整えている。

    ゴリッという音をたてて噛み切ると、その瞬間に口の中に出汁がドッと溢れ出る。そして、甘さの後には、昆布ならではの磯の香りが口いっぱいに広がり、こってりした甘さと粘っこさが口にまとわりつく。

  • 「小芋土佐煮」である。3cm大の里芋を出汁で煮てある。芋の周りには、少量の鰹の削り節が絡みついており、この風味が食欲を刺激する。

    最初の歯ざわりはほっくりしているが、徐々にねっとりしてくる。濃いめの醤油とわずかな甘さの出汁が芋によくしみこんでおり、食べた後に僅かな土の香りが残る。

  • 「人参〆煮」だ。4cm×2cm×3cm程度の大きさの乱切りである。人参特有の甘い香りが漂う。

    人参は柔らかく煮てあり、そっと噛むとスルっと裂ける。

    味がしみこみにくい人参。そのため人参の周りは、気持ち強めの出汁と塩味のエキスがまとわりついているが、人参自体が甘いため、咀嚼によってちょうどよい味加減となる。この調和が見事だ。

  • 次は「蒲鉾」である。5.5cm x 3cm厚さ1cm程度の紅白蒲鉾である。練り物特有の甘い香りがする。

    歯ざわりはサクっとしており、コリコリとした蒲鉾特有の食感がたまらない。味は淡泊だが幾分、塩気が強い仕上がりだ。糖分多めで構成された弁当のおかずとしては、箸休めにちょうどよい。

  • 続いて「玉子焼き」だ。5.3cm x 3.5cm厚さ1cm程度の大きさだ。ほのかに甘い香りがする。

    噛むと出汁がジュっと出てくる。この玉子焼きは、しっとり感が少なめで口の中では若干パサつきを感じる。

    甘みについては、上品というよりは、カラメルのようなくどい甘さだ。出汁や塩味はあまり主張をせず、ボソボソとしたスクランブルエッグを食べているような感じで残念なレベルだ。今後の見直しに期待したい。

  • 最後は「桜漬け大根」である。桜の香りがふわっと広がり、カリカリ、ポリポリとした心地よい歯ざわりが咀嚼を楽しいものにさせてくれる。

    全体的に甘いもので構成された弁当のおかずとしては、なくてはならない名脇役である。

    肉と飯を頬張った後、時々「桜漬け大根」をかじると、味に変化が加わり、単調な甘さから抜け出すことができる。結果として「甘い」「しょっぱい」を繰り返す無限ループに陥ってしまい、食べるペースが一段と上がるのである。

■総評


  • 国産牛肉を絶妙な味付けで煮た牛丼弁当。肉質や米を研究し尽くした仕上がりは、さすがだ。今や全国区の人気を誇る弁当というのがよくわかる。

     

    日本人であれば、恐らく嫌いな人はいないであろう、牛肉と甘辛醤油のコンビネーション。この弁当を製造している新杵屋は元々和菓子屋だったそうである。その経験から培われた技術や味覚が、この弁当の絶妙な醤油ダレを生み出しているのであろう。

     

    冷めたときにしっかり味を感じるように味決めされているため、かなり濃い目の味付けになっている。そのため途中で若干飽きが来るのも事実だ。肉もおかずも大半が甘いもので構成されているため、どうしても単調に感じてしまう。おかずにもう一工夫あってもよいだろう。

     

    肉や飯をかきこみ、あっという間に食べきってしまうと思うが、食べ終わった後、猛烈に喉が渇くことに気が付く。

    このお弁当を食べるときは、ほうじ茶あたりを用意しておくとよい。

     

    自宅に持ち帰って食べる場合は、温泉卵や七味唐辛子をかけてアレンジすると、これがまたいい具合になるのでおススメだ。その際は、味噌汁の用意もお忘れなく。

     

    ■ズバリ!このお弁当は買いなのか?

    駅弁大会等で見かけた際、他に食べたい弁当の候補がなければ、財布との相談で手に取るべきだろう。期待は裏切らないはずだ。

     

    ■こんな人におススメ

    若い人、弁当でハズしたくない人、運動後で濃い味を欲している人

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