【駅弁レビュー】「海苔のりべん」

【駅弁レビュー】「海苔のりべん」

これぞ究極の「のりべん」! 出汁が決め手の食べてビックリ絶品弁当!

  • 価格:950円(税込)

    販売駅:郡山駅 東京駅など

    入手場所:東京駅「駅弁屋 祭」

    販売元:株式会社 福豆屋

     

    項目

    内容

    ジャンル:

    幕の内系

    味の濃さ: 薄ー◆ーーー濃
    甘辛度: 甘ーー◆ーー辛
    全体量: 少ーーー◆ー多
    飽きにくさ: 飽ーーーー◆良
    コスパ: 悪ーーーー◆良
  • 「のりべん」と聞いただけで郷愁を感じる人も多いのではないだろうか。

    子供の頃、母親に作ってもらったという記憶がある人は多いだろう。おかずが乏しくても、ご飯だけで美味しく食べられるという「海苔」と「おかか」のコンビネーションは、シンプルかつ最強の組み合わせではないだろうか。

     

    この弁当を製造・販売しているのは、郡山で仕出し等を専門とする大正13年創業の老舗「福豆屋」だ。

    弁当の構成は、安定の幕の内スタイルで、さまざまなおかずは見た目も鮮やかで食欲をかきたてる。

     

    外装は、紅白の掛け紐が上品に結ばれており、おめでたいイメージだ。その下は掛け紙なのだが、正直なところ、あまり食欲をそそられないデザインである。「海苔」という漢字が海苔の写真で描かれ、その横に「のりべん」とデカデカと書いてある。狭い範囲に「海苔」「のりべん」「みちのく寒流海苔」と3つもの「のり」が記載されており少々くどい。紅白掛け紐とあまりにもミスマッチさを感じる。

     

    パッケージは、プラ容器で蓋はアルミを挟んだ紙製である。

さっそく外観からチェックしていこう!

  • パッケージ左側面は、原材料名等の記載である。

     

    ~原材料名~

    白飯(使用米:国産)、玉子焼、焼鮭、煮物(えびいも、人参、その他)、きんぴらごぼう、かまぼこ、おかか、赤かぶ漬、昆布佃煮、梅干、のり、ごま、調味料(アミノ酸等)、酢酸Na、グリシン、ph調整剤、酸味料、酒精、カラメル色素、増粘多糖類、酸化防止剤(V.C)、加工でん粉、香料、(原材料の一部に小麦、卵、さけ、さば、大豆、ごまを含む)

  • 右側面は、バーコード印字である。掛け紙の下には箸が挟まれている。


  • 向こう正面と手前側は同じ見た目だ。掛け紐がいい!

  • 重さは実測値で462gだ。

大きさ比較をしてみよう!


  • 350ml缶との大きさ比較である。実測値で縦幅は17.8cm、横幅は12.3cm、高さは5.3cmであった。列車の小さなテーブルでも問題なく食べることができるサイズだ。

付属品などをチェック!

  • 外装写真と付属品類の写真である。紅白の掛け紐が特別感を感じる。掛け紐の長さは、110cmだった。残念ながらおてふきは付属していない。

  • 箸袋は紙製で爪楊枝が同封されている。箸の長さは16.5cmでとても短い。もう少し長い方が食べやすいだろう。箸は根本が変な割れ方をする残念な箸だった。

では、弁当を開けてみよう!

  • 紙製の蓋をあけると全体が半透明フィルムに覆われている。

  • そのフィルムをはがすと弁当とのご対面だ。かつお醤油がとても香ばしく、見た目も鮮やかだ。飯の部分は、その名のとおり「のりべん」だ。全体に「おかか」がまぶしてあり、海苔が2枚、中央には「梅干し」が添えられている。

     

    おかず部分には、何とも大きな「玉子焼」。バラン1枚を挟んで「焼鮭」。その横に「かまぼこ」。フィルムケースに収められた「きんぴらごぼう」。同じくフィルムケースに収められた「えびいもと人参の煮物」。そして「赤かぶ漬」というラインナップである。どこか懐かしい、母親の優しさを感じる弁当だ。

    構成は、幕の内スタイルだが、肉や揚げ物がない胃に優しくヘルシーなタイプである。

  • 「おかか」と「海苔」の黄金タッグがたまらない!

  • おかずの半分近くを構成する極厚で大きな「玉子焼」が味に対する自信の現れだろう。

では、ひとつひとつを見ていこう!

  • やはり、この弁当は「飯」から紹介すべきだろう。実測値で252gほどだ。中~大の飯茶碗で1膳半程度の量である。

  • かつお醤油と焼き海苔の芳しい磯の香りが、何ともいえない懐かしさを感じる。やや固めの炊き加減がまた良いのだ。

  • 飯の中央にあしらった「梅干し」は2cm大で5gほどだ。梅の良い香りがする。

    果肉は薄く柔らかで、とても酸っぱく、昔懐かしい塩分高めの「梅干し」なのである。最近は、減塩ブームの影響もあり、こういった「梅干し」はあまり見かけなくなってしまった。それだけに、昔ながらの梅干しは懐かしくありがたい。「梅はこうでなければ!」「これぞ梅干し!」と思う人は多いだろう。この「梅干し」だけで白飯1膳はいけそうだ。

  • 左右に敷かれた2枚の海苔は「みちのく寒流海苔」というブランド海苔だ。長辺8.5cm、短辺4.1cm、厚さは0.2mmほどだ。三陸沖の親潮と黒潮がぶつかり合う栄養豊富な漁場で育った海苔は、半分ほど醤油が掛けられており、しっとりしている。海苔の風味はとても豊かだ。

  • 海苔を剥がすと、どっさり鰹節が敷き詰められている!

な、なんとご飯の間に…

  • 食べ進めると、飯は二段重ねになっており、ちょうど半分ぐらいの位置に半分にカットされた「海苔」が4枚、中央に「昆布の佃煮」がサンドイッチされている。

  • 中央にあしらった「昆布の佃煮」は、長さ4.7cm、幅3mm、厚さ1mmほどで6gである。

    やや甘めの味付けで「シソ」の匂いが芳しく、更に食欲が増してくる。

     

    そんなサンドイッチ構造のため、飯を食べ進めて行く事自体が、宝箱を掘っているような感覚になるだろう。食べる場所によって味に変化が加わるため、飯だけでも立派なおかずになる。

おかずを見ていこう!

  • まずは、大きな大きな「玉子焼」である。長さ9.3cm、厚さ2.2cm、高さ3cmで重さは59gほどだ。これだけ大きな塊の玉子焼が入った駅弁はそうそうないだろう。色もきれいで見ているだけで食欲をそそられる。

    香りは、だし巻き特有の練り物のような匂いだ。箸で持つとずっしりと重さを感じ、口に含むと、出汁の海となってジューシーな波が押し寄せてくる。

    この「玉子焼」は甘さも控えめで出汁が濃い。まさに「ザ・だし巻き卵」と言える絶品だ。

  • 続いて、これまた大きな「焼鮭」である。長さ12cm、厚さ1.4cmで32gほどだ。美しいサーモンピンクで香りは“しゃけ”そのもの。身はツヤツヤと輝いており、脂乗りが素晴らしい。塩加減は気持ち強めで、身はふんわり柔らかく、箸でそっと触ればホロホロと崩れていく。運がよければ骨がない身に出会えるだろう。鱗付きだが鱗部分に生臭みはなく、残さず食べられる。

    「焼鮭」と「おかか」の組み合わせもゴールデンコンビだ。

  • 「かまぼこ」である。長さ4.5cm、高さ2.8cm、厚さ8.5mmで重さは10gほどだ。香りは練り物そのもので、噛みごたえは弱めで、スッと歯が入っていく。とても上品な塩加減だ。外周部が焼きあげられているため、見た目も美しく「ちくわ」等に共通する香ばしさが何ともよい。この「かまぼこ」も実に素晴らしい。

  • 次は「きんぴらごぼう」だ。おおよそ4~5cmにカットされ、4切れで13gほどだ。通常、目にする“細切りのきんぴらごぼう”ではなく、ダイナミックにカットされた太いきんぴらごぼうである。

     

    機械できれいに切りそろえたものではなく、手作業でひとつひとつカットしたような不揃いさに手作り感を感じる。

    香りは醤油とごま油に大地の匂いである。太切りのごぼうなだけに、歯ごたえはかなりのもので、噛むとカリッカリッという音を奏で心地よい。一般的な「きんぴらごぼう」の味付けとは異なり、甘さはほんの僅かで主に醤油と出汁の味で構成されている。出汁の味が抜けたあとは、ごぼう独特の土の香りが楽しめる。

  • 煮物の「えびいも」である。長さ5cm、直径2.8cmほどで23gほどだ。鉛筆のような六角形に切られており、見た目もきれいだ。優しい出汁の香りで、とても柔らかく炊いてあり、唇に触れると変形するほどの柔らかさだ。ねっとりとした歯ざわりが「えびいも」ならではである。

    とても上品な味付けとなっており、芋本来の味を十分に活かしているのがよい。

  • 煮物の「人参」だ。櫛形に切られており、長さは4.8cm、厚みは厚い部分で2.5cm、11gほどだ。出汁の香りが強く、わずかに「にんじん」の甘い香りも漂う。

    「えびいも」同様に柔らかく炊いており、噛むと出汁がジュワッと飛び出してくる。はじめは出汁の味が強く、徐々に人参の甘さに変わっていく変化具合がたまらない。

  • 最後は「赤かぶ漬」である。とても鮮やかなピンク色で大きさは3cm四方程度。厚さは5mmで重さは6gほどだ。フレッシュな酢の香りで、噛むとゴリゴリとした音と共に酸っぱいエキスがジュワッとこぼれて出てきて、思わず顔をしかめてしまうが、酢が馴染んだあとはカブの甘さが広がる。

■総評

  • 恐らく日本人なら誰もが好きであろう「のりべん」。パッケージからは想像できない名品である。

    安価な「のりべん」は数あれど「お金がかかった“のりべん”とはこういうものだ!」と言わんばかりの豪華さがある。「何故のりべんに1,000円も…」と思う人がいるかもしれないが、一度でも食べればそんな考えはどこかに吹き飛んでしまうだろう。

     

    全体的に味は優しく、出汁を上手に使うことで実に豊かな味わいに仕上がっている。揚げ物レス弁当なので、老若男女を問わず、ペロっと食べられるだろう。一つ一つの素材が吟味されており、どのおかずから食べてもバランスがよい。飯自体がおかずとも言える弁当にもかかわらず、脇役すべてが素晴らしいというのは、本当に驚きだ。

  • そんな大絶賛の弁当であるが、一点残念なところがある。

    「焼鮭」の脂乗りが良いため、鮭から染み出たオレンジ色の油が、おかず全体に回ってしまっているのだ。製造販売元もそこは気がついているようで、おかずの下には透明フィルムが敷かれ、油がこぼれないようにはしてある。しかし、フィルム上に盛られた「玉子焼」や「かまぼこ」は、底面がオレンジ色に染まってしまい、味移りが見られる。

    実際のところ、このオレンジ色の油は見た目がよろしくない。できれば、「焼鮭」の下に水分吸収シートを敷くなりして、味移りや色移りを防げたら、更に魅力的な弁当になることだろう。


  • ■ズバリ!このお弁当は買いなのか?

    まだ食べたことがないならば、是非食べてほしい逸品。

     

    ■こんな人におススメ

    だし巻きが好きな人、美味しい弁当が食べたい人、オーソドックスな弁当が好きな人

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