懐かしの車両をめぐる関西支線の旅 ④南海汐見橋線

懐かしの車両をめぐる関西支線の旅 ④南海汐見橋線
  • 「懐かしの車両をめぐる関西支線の旅」のラストは南海汐見橋線を取り上げます。南海汐見橋線は大阪・ミナミの中心地である難波駅の西隣から出発します。しかし、日中の列車本数は1時間に2本! そのような路線を高野山輸送の元エースがコトコト走っています。それでは、南海汐見橋線の魅力に迫ってみましょう。

時が止まっているように感じる汐見橋駅

  • 汐見橋線は汐見橋駅と本線、高野線との接続駅、岸里玉出駅を結ぶ、全長4.6キロの路線です。起点駅である汐見橋駅は阪神なんば線の桜川駅の隣にあります。桜川駅は大阪難波駅の西隣なので、停車する電車がとても多いです。


  • 近代的な桜川駅に対して、汐見橋駅は本当にひっそりしています。まるで、時が止まったよう、昭和にタイムスリップしたような感じになります。


  • 駅舎を観察すると、使われなくなった窓口やレトロな温度計を見つけました。極めつけは「乗車駅証明書」を発行する機械。このような押しボタン式の機械は全国でも珍しいのではないでしょうか。

  • 汐見橋線は難波駅の西隣から出発するにも関わらず、日中の運転本数は30分に1本! しかも最終電車は22時台です。とても都会を走っている路線とは思えません。


  • ホームに立つと芸術的な使い方をした古レールを発見。また、ホーム上にも「昭和」を感じさせるアイテムがありました。

高野山輸送の元エースが走る 

  • 汐見橋線を走る車両は2200系と2230系です。どちらも、かつては高野山輸送で活躍し「角ズーム」の愛称で親しまれていました。現在は高野線から撤退し、支線向けにワンマン化されています。


  • 2200系の特徴は本線で使われる車両よりも少し短い全長17mであること。そして、通勤型車両には珍しく2扉となっています。車内はシンプルなロングシート。飾りっけのない床が時代を感じさせます。

  • 私が訪れた日は昭和44年製造の2200系2202編成が使われていました。製造元は東急グループの東急車輛製造(現横浜金沢プロパティーズ株式会社)です。

  • 2200系は止まっているときに「ボコボコ」というコンプレッサーの音がします。けっこう、この音がやみつきになるので注目してください。

かつては本線級であった高野線

  • 今でこそ、ローカル線に成り果てた汐見橋線ですが、かつては本線級の路線でした。そもそも、現在でも戸籍上、汐見橋線は主力路線である高野線に含まれています。

  • 汐見橋線が開業したのは1900年のこと。高野線の前身である高野鉄道をルーツにしています。高野鉄道は大阪のターミナルを汐見橋駅に指定しました。その後、高野鉄道は南海と合併し、1929年に高野線の全列車が難波駅に乗り入れました。1929年以降、汐見橋線は単なる一支線になったのです。

  • かつての栄光をわずかに垣間見られる駅が木津川駅です。木津川駅には貨物線の跡が残っています。材木輸送のために多くの貨物列車が木津川駅に乗り入れていたことでしょう。

  • 駅舎は1940年代に建てられたものですが、モダンな雰囲気が漂います。なお、木津川駅は極端に乗降客の少ない駅「秘境駅」としても知られています。近くには高速道路や工場があるにも関わらず、駅構内はひっそりとしていました。

汐見橋線から人情あふれる路面電車に乗れる 

  • 木津川駅から再び電車に乗り、終点の岸里玉出駅に着きました。岸里玉出駅は立派な高架駅になっており、急に現代に戻されたような感じになります。なお、岸里玉出駅では本線と高野線に乗り換えできます。

  • なお、汐見橋線の車両は端の6番線から出発します。本線のホームから見ると、2両編成の電車がかわいく見えてきます。

  • このまま、本線に乗って難波駅に戻るのはもったいない! 実は岸里玉出駅から東に10分ほど歩くと、阪堺電車阪堺線の天神ノ森停留場にアクセスできます。「阪堺電車」といえば、大阪唯一の路面電車として知られています。

  • 阪堺電車も汐見橋線と負けず劣らず、レトロな雰囲気が漂います。また、やって来た車両は大阪らしい黄色1色の派手な塗装。この車両に乗ってJR新今宮駅へ向かいました。なお、阪堺線は新今宮駅前停留場でJR大阪環状線・関西本線と、えびす町停留場で市営地下鉄堺筋線と接続しています。

とにかく関西の電車はキャラが濃い


  • ひとまず「懐かしの電車をめぐる関西支線の旅」はこれで終わりです。とは言っても、関西には懐かしの電車はまだまだあります! また、別の機会に紹介しましょう。今回紹介した車両も含めて、とにかく関西の電車はキャラが濃いです。ぜひ、それぞれの電車が持つギラギラした個性に注目してくださいね。

    ライター:新田浩之

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