西武鉄道の「スタジオツアー東京 エクスプレス」に乗車してきました。
鮮やかなブルーを基調とした車体に、ハリー、ハーマイオニー、ロンが大きく描かれたインパクト抜群のラッピング電車です。
ホームに停車している姿を見ると、どうしてもハリー・ポッターのラッピングに目を奪われます。
ところが今回、実際に乗車してみて気になったのは、華やかな外観とはまったく別の部分でした。
先頭車両に設置されている「跳ね上げ式シート」です。
普段は一般の乗客が座席として利用でき、車いすで利用する際には座席を跳ね上げてスペースを確保できる仕組みになっていました。
限られた車内空間を有効に活用しながらバリアフリーにも対応する、興味深い設備です。
ハリー・ポッターの「スタジオツアー東京 エクスプレス」
今回乗車したのは、西武鉄道20000系を使用した「スタジオツアー東京 エクスプレス」です。
2023年6月に「ワーナー ブラザース スタジオツアー東京-メイキング・オブ・ハリー・ポッター」が開業するのに先駆け、同年5月16日から運行を開始しました。
車両の背景には映画「ハリー・ポッター」に登場する「禁じられた森」がデザインされ、ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人が大きく描かれています。
今回乗車した車両は20000系の20058号車。
車体側面を見ると、ロン、ハーマイオニー、ハリーが大きく並び、通常の20000系とはまったく違った姿になっています。
車内は通常の20000系
外観はこれだけ大胆なラッピングですが、車内へ入ると雰囲気が一変します。
車内にはハリー・ポッターのラッピングはなく、基本的には通常の20000系の車内です。
ブルーを基調とした座席が並び、白を中心とした明るい内装。外から見た時とのギャップも面白いところです。
西武20000系は2000年2月にデビューした車両で、西武鉄道では「環境と人にやさしい」をテーマに開発した車両と紹介しています。
そして先頭車両を見ていて気づいたのが、今回紹介したい設備です。
一見すると普通の座席、でもよく見ると……
乗務員室に近い場所にブルーの座席があります。
一見すると一般的な座席のように見えるのですが、周囲をよく見ると少し様子が違います。
壁には車いすのピクトグラム。
そして、この座席は固定された一般的なロングシートではなく、跳ね上げることのできる構造になっています。
通常時には座面を下ろした状態で、一般の乗客が座席として利用できます。
ところが車いすで利用する場合には、この座席を跳ね上げることで床面にスペースを作り、車いすスペースとして利用できるようになっています。
「普段は座席、必要な時は車いすスペース」
この仕組みがとても合理的です。
車いすスペースとして常に何も置かない空間を確保するのではなく、
普段は座席として利用
↓
車いす利用時は座席を跳ね上げる
↓
車いすスペースとして利用
という使い分けができます。
車いすを利用する人が乗車する際には必要なスペースを確保しながら、それ以外の時間には一般の乗客が座ることができます。
通勤電車では限られた車内スペースをどのように使うかも重要です。
その中で、ひとつの場所に二つの役割を持たせているのが興味深いところでした。
先頭車両のスペースを有効活用
この座席があるのは先頭車両です。
先頭車には乗務員室があるため、中間車とは車内のレイアウトが異なります。
その乗務員室に近い部分に跳ね上げ式の座席を設け、必要に応じて車いすスペースとして使用できるようにしています。
写真で座席を下ろした状態を見ると、ブルーのシートが並ぶ普通の座席に見えます。
一方、座席を跳ね上げれば床面を広く使えるようになります。
壁面には車いすのマークのほか、手すりや非常通報装置なども確認できます。
何気なく通り過ぎてしまいそうな場所ですが、設備の意味を知ってから見ると印象が変わります。
西武鉄道が進める車両のバリアフリー
西武鉄道では、車両のバリアフリー化を進めています。
公式サイトでは、車いすスペースをはじめ、車内案内表示器やドア開閉表示灯など、各形式に設置されているバリアフリー設備を紹介しています。
20000系も車いすスペースを備えた形式として案内されています。
こうした設備はラッピング電車のように外から見てすぐ分かるものではありません。
しかし、毎日の移動手段である鉄道にとっては、とても重要な設備のひとつです。
ハリー・ポッター電車で見つけた、もう一つの見どころ
今回はハリー・ポッターのラッピング電車に乗車したことで、20000系のちょっと興味深い設備に出会うことができました。
外から見れば、ハリー、ハーマイオニー、ロンが車体いっぱいに描かれた「スタジオツアー東京 エクスプレス」。
しかし車内へ入ってみると、ハリー・ポッターの装飾とは別に、日常の鉄道として使いやすくするための工夫があります。
中でも印象に残ったのが、
「普段は座席として使い、必要な時には跳ね上げて車いすスペースにする」
という先頭車両のシートでした。
座席数を確保しながら、必要な時には車いすのためのスペースを作る。
とてもシンプルな仕組みですが、実際に座席が下りている状態と、スペースとして使える構造を間近で見ると、よく考えられた設備だと感じます。
ラッピング電車というと、ついつい外観ばかり撮影したくなりますが、車内設備に目を向けてみると、その車両のまた違った魅力が見えてきます。
今回の「スタジオツアー東京 エクスプレス」では、ハリー・ポッターのラッピングとともに、西武20000系の「人にやさしい」工夫にも注目することができました。
という訳で、よい「鉄分」を!










